凄すぎる人工知能Adobe senseiがデザイナーの仕事を奪う?そんな事ないと思った理由
デザイナーならみんな大好きADOBE製品。
私(@Imai_design)も日頃から大変お世話になっております。
毎日ご飯が食べられるのは「ADOBE製品があるからです」と公言しても
言い過ぎではないほどにお世話になってます。
先月、そのADOBE SYSTEMESが主催の世界最大のクリエテビティ・カンファレンス
「Adobe Max」が開催されました。
Adobe社が開発している様々な最新技術に触れることができる最先端イベントです。
今回はAdobe社のクリエイティブな人口知能、
その名も「Adobe sensei」にフォーカスした発表内容が充実していたようですね。
詳しくはこちらの記事をご覧ください!
Adobe senseiとは?
アドビ製品と人口知能を組み合わせたサービス。
デザイン業務中に発生する単純作業を人口知能が高精度処理してくれます。
AIに世界中のアドビユーザーの作業ワークフローを学ばせることによって
精度の高い自動処理が可能となったとのこと。
ちなみにsensei自体は今回が初登場というわけではなく、
昨年の「AdobeMax2016」から登場していた模様。
↓2016年のAdobeプレリリース内容記事です。
こちらに書いてあるsenseiの機能が具体的な形になって
今年のAdobeMaxでお披露目されたといったところでしょうか。
自動処理機能自体はこれまでもフォトショップに組み込まれていましたが
(同じ作業工程を開いている全ての画像データに適用する【バッチ処理機能】など)
あくまで【開いている画像全てに同一の処理を加える】ような機械的処理の領域の話。
今回の発表に含まれているような、「今まで人が手動処理していた作業作業領域」
までは及びませんでした。
※人が手動処理していた作業領域=画像の細かい部分まで切り抜き処理をかけたり、
イラストを描いたりすることが含まれます
AdobeMaxでの発表によれば、ラフに色着彩・写真からイラストに変換
写真レタッチ作業も人の手で行なったものと見紛いするレベルで処理してくれるそうです。
映像みていただくとわかる通り、会場の盛り上がりっぷりがすごいですね。
Adobe senseiの機能でデザイン作業が大幅に軽減される事の如実な現れ?
その一方で、senseiのインパクトが凄すぎて、
「多くのクリエイターの仕事を奪うのではないか?」という意見も出ています。
過去に「デザインは容易にAI置き換えできない業務領域」と日経新聞が発表してたりしましたので
予想外の技術進歩に驚いている方が沢山いらっしゃるのかなと思います。
デザインでご飯を食べている私はどう感じたかといいますと、
「Adobe senseiすごすぎる!!デザイン作業を超効率化してくれる、
ハイスペックすぎるパートナーだ!!」と感じています。
人の仕事を奪う脅威的存在になりうる、とは考えていません。
なぜそう感じたのか簡潔にまとめてみました。
●デザイナーの仕事は下調べや資料探し・素材探しに占める時間が多い
デザイナーは依頼された制作物を作る前にリサーチを行います。
他社の売り方・競合がどのように商品やサービスを表現しているのかを調べてから
デザインに取り掛かります。
営業の仕事は市場調査(=マーケティング)をしてから商品やサービスの売り方を
考えますよね。デザイナーがやることも同じなんです。
その時消費者に好まれている表現を知らないといけないですし、
流行りの表現をある程度調べた上でデザイン作業をします。
それにプラスして、自社サービスが提供する価値観を表現できている+広告が溢れる
媒体(オンライン・オフライン両方)でも
目立つ・目を引くデザインとしければいけません。
かっこいい広告を作っても、ターゲット層であるお客様を誘導できなければ
的外れですし、他デザイン会社が作った広告が一面に並んだ媒体の中に配置した時、
埋もれてしまっては意味がないですよね。
広告ひとつ・イラストカットひとつで効果を最大限あげられるように、
「どうしたらターゲット層のお客様に見てもらえるのか?」を常に考え、
逆算してデザインをしているのです。
このように、「どのようなデザインなら、利益貢献できるのだろうか?」
という視点に立ってデザインをするのがデザイナーの仕事です。
デザイナー=ただ紙面レイアウトを作ったり、ウェブデザインを作っているだけの人、
という訳ではないのです。
実際自分の業務を振り返ってみても、画像集情報サイトで広告資料を
チェックして(以前ご紹介したことがあるピンタレストなどを使ってます)
競合関係の商品がどのように広告を打ち出しているのかを最初に確認して、
それから「うちのサービスと競合商品の違いはなんだろう?」
「うちはこう売るのはどうか?」とレイアウト案を練ります。
案を練った結果写真素材が必要となれば、狙っている表現にあう写真素材を
探してこなければいけません。
自分の求めるイメージが人気のあるモチーフの時
(例えば若い女性のスキンケア系の画像など)はすぐに見つかりますが
あまり人気のないモチーフの時は、いくら検索してもいい写真が引っかからず、
写真探しに非常に時間を割く場合もあります。
デザインの業務全体を10とすれば、私の場合事前の下調べや資料探しが4で
素材探し(必要な場合)が1、実際のデザイン作業が5くらいの割合でしょうか。
それを踏まえた上でsenseiの機能をご覧になってみてください。
素晴らしすぎると思いませんか?!
※風景画像レタッチデモの様子です。
senseiが合成する写真を自動で選んできて、合成パターンを提案してくれています。
アドビsenseiの優れた機能を活用できれば、
私たちデザイナーがこれまでより早い制作を求められる環境になっても、
今まで以上に良い効果をもたらすデザイン物を作成すること
(それも、これまで以上に集中できる状態で)が可能となるのではないでしょうか。
きちんと使いこなせるように勉強が欠かせませんね!
Adobe senseiの凄すぎる処理能力。
みなさんはどんな風に感じましたか?